1年秋学期 「お勉強系」の授業
スタンフォードのビジネススクールの最初の学期の授業は8つでした。
最初の授業ということで、どれも専門的というより基本的で、どんなバックグラウンドから来ている人も対応できる内容だった。
自分の中での分類として、すごくざっくり、【お勉強系】と【実践・体験系】分けてみると、
【お勉強系】(日本語は適当)
- Strategic Leadership 「戦略」
- Global Context of Management 「グローバル」
- Managerial Finance 「ファイナンス」
- Organizational Behavior 「組織行動学」
- Ethics in Management 「倫理」
【実践・体験系】
- Managing Groups and Teams 「グループダイナミクス」
- Leadership Labs 「リーダーシップ体験」
- Critical Analytical Thinking 「分析的思考」
それぞれについて、すごくざっくりと、特徴や感想をまとめてみる。
とりあえず、【お勉強系】から抜粋していくつか。
Strategic Leadership 「戦略」
毎回、ケーススタディで一つの企業のストーリーとある時点での課題を取り上げ、それに関係する戦略的・経営的なテーマを議論する。
Organizational Behavior 「組織行動学」
組織というより、人間の思考・認知について、心理学の観点から考えるといった内容。
内容自体は、たまたま同時期に読んでいた以下の本とかなり共通していて、心理学の分野では誰もが知っているような実験・研究を引用していたようだ。
- 作者: 植木理恵
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2010/02/26
- メディア: 単行本
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モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 講談社
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これらを含め、【勉強系】のクラスに共通していたのは、
- ケーススタディ、理論、クラスでのディスカッション、教授の経験、の組み合わせで学びが形成される (比率は授業によって異なる)
- 内容はどんなバックグラウンドから来た人にもついていけるようにできている。故に経験のある分野の授業では、学ぶというよりも、経験談や意見を発言することでクラスメートの教えに寄与する側に立つ機会が多くなる
- 結論まで至らないディスカッションが多かったり、教授のまとめ方の善し悪しなどがあるので、授業から個人が引き出す「学び」も、人によって浅かったり深かったり間違っていたり、様々という印象
ビジネススクールの授業とはそういうものだ、というのが体感として分かった、という学期だった気がする。
授業自体は、成績も実質どうでもよく、予習をするしないも自由、発言するかも自分任せ。故に学ぶ内容も深さも自分の資質と努力次第。
授業の、全員に共通する機能とは、自分の得意不得意や興味を実感し、今後の授業選択はもとより、ビジネススクール在学中の活動(勉強、就活、課外活動、パーソナルライフなど)の優先順位付けや、卒業後の進路選択をする上で幅広いインプットと考える機会を得ることなんじゃないか、と実感した。
個人的には、Organizational Behavior 系の授業が充実しているという言われるスタンフォードの一端を垣間見たのが、Organizational Behavior と Ethics の授業だった。
組織とか倫理というトピックを、固定的で無機質なハコや「べき論」で語らずに、根本にある「人間の判断とそれが孕んでしまうバイアス」を紹介し、議論することで、よりヒューマンな視点から組織を見る基礎となった気がする。実際の企業の中での組織の構成・行動・カルチャーのマネジメントとこれらのヒューマンな要素をどう融合した組織論が形成され、実社会で実践されていくのか、個人的に今後、興味深いテーマだ。