Investments 授業

2年生向けの選択授業の一つに、Investment Management and Entrepreneurial Finance というものがある。

これは公開株およびプライベートエクイティの世界での投資について、毎回異なる投資家がゲスト講演者として来校し、その専門分野や過去の投資案件あるいは投資哲学について語る、というものである。
卒業後に投資の世界に進む人はほとんど選択している気がするけど、受講者の半数近くは、卒業直後はプロの投資家にはならない、と言っていた。

この授業はもう45年も同じ教授によって開かれているんだけど、毎回授業に来るゲストというのが、それぞれの世界ではとても有名だったり実績を上げている人であり、すべてこの授業の過去45年の卒業生である。なんかそのあたりはNHKの『課外教室ようこそ先輩』っぽい。
ゲストは投資の世界で成功している人たちなので、当然、みんな億万長者・・・。

公開株投資の話は、夏季にロング・ショートのエクイティファンドでインターンをしたこともあり、ついていけるけど、プライベートエクイティの方は内容自体は詳しくはついていけなかった。

学んだことでは、投資手法の細かい話や業界の話は、そもそもよく知らないから個人的にはあまり吸収できず。。
でも、投資家の立場にせよコンサルタントの立場にせよ求職者の立場にせよ、会社の善し悪しを見るポイントについては幅広く意見を聞くことができ、自分の中の基準も深めることができたと思う。

特に印象に残っている点としては・・・

  • 半分以上の時間を"Front line"(= 現場)で過ごせ
  • 自分で決めた投資基準に則って決断せよ
  • 意思決定のプロセスを記録しておけ

1点目は、まさにどんな立場でも言えることで、オフィスでPCの前に座ってどれだけ会社の財務諸表やアニュアルレポート、ウェブ記事を読んでも、現場で見聞きすることにはかなわない。できるだけ、現場、顧客、仕入先など業界内の人から多くの意見を聞くことが会社を評価する上で重要。「経営陣の言うこと」は確実性は上記よりは必ず落ちる (経営陣が過去にやったこと、は嘘をつかない)。

2、3点目は、意思決定の基準、プロセスおよび実行における規律(Discipline)を担保するもので、責任ある立場で意思決定していく人には共通して重要な原則だと思う。

そういったことを、優秀な人々が集う厳しい投資の世界で勝ってきた人達に言われると、そういった努力やプロセスの重要さを実感させられて身が引き締まる。
一方で、「自分でも何かできる」ような気になる。投資の世界じゃないかもしれないけど、どこかで。

その点に関して、一人のゲストがいいことを言っていた。

"The world does not have enough smart, educated and honest people...pursue what you care about"
僕の解釈としては・・・世の中には優秀で教養があって正直な人はそもそも不足している。だから、競争が緩そうとか勝てそうとかオイシそうなところに行くのではなく、自分のパッションの向くところに行き、実直にやれば結果はついてくる。
ということかな、と。

この2年間は、自分の可能性の多さと大きさへの大きな期待、恵まれた境遇への感謝と無駄にできない義務感、優秀な周囲への不安、などいろんな感情に翻弄されながら人生における大きな意思決定を迫られるので、改めてこういう原則を示されると安心するし、もっと自分を正直に振り返ろうと思う。

結局、僕にとっては、すべての授業が、それが自分の得意・不得意、興味の強さによらず、最後には「自分はこれからどういったことがしたいのか」の問いへの仮説を与えてくれている。


課題図書:投資の世界での「古典」で、value investing についての深い示唆に富む (らしい・・・まだ読み終わってないさ)