四天王の壁 (テニス)

今年の全豪オープンテニスは、錦織の活躍で、これまでテニスに馴染みのなかった日本の人も盛り上がったことと思う。
最後は圧倒的に力の差を見せつけられたけど、それまでの勝ちっぷりは見事だったし、これで世界のトップ20入りと、ほんと歴史的な大会だった。

これで準決勝には世界の4強が順当に勝ち残り、これから3試合、本当に熱い世界トップレベルの試合が見れるのは間違いない。

この4強は、いままさに「四天王」といった感じで、「彼らと、それに続く5位以下の人の間にはすさまじいギャップがある」と言われている。
実際、安定してグランドスラムで準決勝以上の成績を残しているのは彼ら。
他の選手も、トップ4を倒すこともあるが、ムラがあったり、怪我があったり、と、彼らのように心技体すべてが安定して高いレベルにある訳ではない。

ただ、その中でも、錦織を破ったマレーは、まだグランドスラム大会の優勝はない(準優勝が3回)。
「四天王の一人だけど、後の3人からはちょっと低い位置にあり、ハミっている」というよくあるポジションである。
英国に1936年のフレッド・ペリー(あの服のブランドの)以来の悲願の優勝をいつもたらすか、と国の期待を一身に背負っている人である。
プレースタイルは、基本的には安定して長いラリーで相手を崩したり、攻めてきた相手をカウンターで振り返す粘り強いスタイル。ただ、フォアやサーブは武器として十分威力がある。

今回の錦織との対戦では、序盤から長い長いラリーで錦織にボディーブローを与えていた。
返球が深く、コースもいいので、錦織が自分のペースで攻めに転じることのできる展開がほとんどなかった。

そして勝負を分けたのはやはり勝負どころでのギアの入れ方。
トップの選手は、セットやブレークのかかったポイントで、グっとプレイのレベルを上げてポイントを奪ってくる。
今回も、錦織にもブレークのチャンスは十分にあったけど、Deuceからゲームを取るのがすごく大変だった。

また、これまで順当に勝ち進んだり、相手が途中棄権してきたMurrayに比べ、錦織は連日、長い試合を日中に戦ってきたから、残っている体力の差があり、
錦織は第3セットでも開き直るエネルギーがなくて力尽きたような感じだった。
(たぶん、この試合の前のラウンドでの合計試合時間だと錦織の方が倍以上なんじゃないかな)

錦織も、ツォンガに勝ったときなんかは、勝負どころで思い切った攻めもできていたし、格下に負けない強さも身に付けてきているはずなので、
勝負強さという意味では上がってきた気がする。でもやはり四天王は別格。

プレイスタイルのせいで、マレーとの試合はひたすらジワジワ押される展開で、見てる方としても疲弊したり凹んだりと、精神的に滅入る試合だった。
錦織がツォンガに勝った試合の方を放送してくれたら、テニスの人気を押し上げる効果はあっただろうに。。

このあとの準決勝・決勝では、本当の世界トップ「四天王」の熱いプレーに存分に魅了されようっと。今夜は伝説のフェデラーナダルの準決勝。二人のスタイルが対照的かつレベルが高すぎるので、この試合はテニスに詳しくない人が見ても絶対に面白い。楽しみすぎる。